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千葉地方裁判所 昭和56年(ワ)619号 判決 1985年4月16日

原告

高仲秀子

ほか七名

被告

植木保己

主文

一  被告は、原告高仲秀子に対し金五〇八万四一三六円及び内金四七五万〇八〇三円に対し昭和五五年一〇月八日から、内金三三万三三三三円に対し本判決確定の日の翌日から、支払済みまで年五分の割合による金員、同高仲勇、同高仲常次、同高仲光男、同小磯初子に対しそれぞれ金二五四万二〇六七円及び内金二三七万五四〇一円に対し昭和五五年一〇月八日から、内金一六万六六六六円に対し本判決確定の日の翌日から、支払済みまで年五分の割合による金員、同神崎むつゑ、同神崎輝雄、同坂巻節子に対しそれぞれ金四三五万八一六三円及び内金四〇二万四八三〇円に対し昭和五五年一〇月八日から、内金三三万三三三三円に対し本判決確定の日の翌日から、支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告らのその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は一〇分しその六を原告ら、その余を被告の負担とする。

四  この判決は原告ら勝訴部分に限り仮りに執行することができる。

事実

第一  当事者の申立

一  原告ら

1  被告は、原告高仲秀子に対し金一一〇八万二一〇三円、同高仲勇、同高仲常次、同高仲光男、同小磯初子に対しそれぞれ金五五四万一〇五三円及びこれらに対する昭和五五年一〇月八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  被告は、原告神崎むつゑ、同神崎輝雄、同坂巻節子に対し、それぞれ金一三三八万五七一三円及びこれらに対する昭和五五年一〇月八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告の負担とする。

4  仮執行の宣言。

二  被告

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

3  担保を条件とする仮執行免脱の宣言

第二  当事者の主張

一  請求の原因

1  高仲岩雄(兄、以下亡岩雄という)、神崎明雄(弟、以下亡明雄という)は、昭和五五年一〇月八日午後八時二二分頃、千葉県成田市大清水一六五番地先路上を歩行中に被告運転の自動車(千葉五七ね三七三二、以下、加害車という)に衝突されて即死した。

2  亡岩雄の法定相続人は原告高仲秀子(妻)、同高仲勇(長男)、同高仲常次(二男)、同高仲光男(三男)、同小磯初子(長女)である。

3  亡明雄の法定相続人は、原告神崎むつゑ(妻)、同神崎輝雄(長男)、同坂巻節子(長女)である。

4  被告は加害車を所有して自己のため運行の用に供していた。

5  亡岩雄の死亡によつて生じた損害は次のとおりである。

(一) 逸失利益 金三六二四万六三一七円

(1) 亡岩雄は事故当時六〇歳の健康な男子で農業と貸植木業を経営し、少なくとも年間金七八五万八六二一円を下らない収入を得ていた(その内訳は別紙(1)のとおり)。

(2) 生活費控除 三〇パーセント

(3) 中間利息控除 ホフマン係数六・五八九(八年)

(二) 慰藉料 金一五〇〇万円

亡岩雄は妻子とともに一家の中心となつて家業に従事し、一家の支柱であつたから、同人の死亡による慰藉料は金一五〇〇万円を下らない。

(三) 葬儀費 金一〇〇万円

(四) 以上(一)、(二)、(三)の合計五二二四万六三一七円のところ自賠責保険より金二〇〇〇万円と被告から金一〇〇万円の支払を受けたのでこれを控除した残額三一二四万六三一七円

(五) 弁護士費用 金二〇〇万円

被告が任意の支払いに応じないため本訴を余儀なくされた弁護士費用の内金。

(六) 右(四)、(五)の合計金三三二四万六三一七円

6  亡明雄の死亡によつて生じた損害は次のとおりである。

(一) 逸失利益 金四三一五万七一四一円

(1) 亡明雄は事故当時五八歳の健康な男子で長男輝雄とともに自動車販売業を経営し、そのかたわら高速道路の料金所に勤務しており、少なくとも年間金八四七万一一五四円を下らない収入を得ていた(その内訳は別紙(2)のとおり)

(2) 生活費控除 三〇パーセント

(3) 中間利息控除 ホフマン係数七・二七八(九年)

(二) 慰藉料 金一五〇〇万円

訴外亡明雄には妻子があり、一家の中心となつて家業に従事し、一家の支柱であつたから同人の死亡による慰藉料は金一五〇〇万円を下らない。

(三) 葬儀費 金一〇〇万円

(四) 以上(一)、(二)、(三)の合計金五九一五万七一四一円となるところ自賠責保険より金二〇〇〇万円と被告から一〇〇万円の支払を受けたのでこれを控除した残額金三八一五万七一四一円

(五) 弁護士費用 金二〇〇万円

被告が任意の支払いに応じないため本訴を余儀なくされた弁護士費用

(六) 右(四)、(五)の合計金四〇一五万七一四一円

7  亡岩雄の相続人の相続分は、原告秀子が三分の一、同勇、同常次、同光男、同初子がそれぞれ六分の一であり、亡明雄の相続人の相続分は、原告むつゑ、同輝雄、同節子についてそれぞれ三分の一である。

8  原告らはそれぞれ相続分に応じて、逸失利益を相続し、同様の割合による精神的苦痛(被害者本人分と遺族である原告ら固有分)を受け、かつ同様の割合に応じて葬儀費と弁護士費用を負担した。

9  被告本人と自賠責保険金からの填補分についても、原告ら相続分に応じて、配分のうえ各自の損害額に充当した。

10  よつて原告らは請求の趣旨掲記の各金員(個別に計算したことによつて生じた端数は切捨て)及びこれに対する事故の日である昭和五八年一〇月八日から支払済みに至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  請求の原因に対する答弁

1  請求原因1は認める。

2  同2、3項は不知。

3  同4項は認める。

4  同5、6項のうち、それぞれ自賠責保険より金二〇〇〇万円及び被告から金一〇〇万円の支払のあつた点を認めその余はすべて否認する。

5  同7ないし9項は不知。

三  抗弁

1  弁済

(一) 被告は、原告高仲秀子、同高仲勇、同高仲常次、同高仲光雄、同小磯初子に対し、自賠責保険金二〇〇〇万一三〇〇円及び被告本人の弁済金一〇〇万円の合計金二一〇〇万一三〇〇円の支払いをなした。

(二) 被告は、原告神崎むつゑ、同神崎輝雄、同坂巻節子に対し、自賠責保険金二〇〇〇万一三〇〇円及び被告本人の弁済金一〇〇万円の合計金二一〇〇万一三〇〇円の支払いをなした。

2  過失相殺(亡岩雄、亡明雄について)

(一) 本件事故のあつた道路状況は、車道幅は、片側一車線で、黄色のセンターラインで仕切られて、片側二・八メートル、両側五・八メートルである。車道と歩行者の通行すべき歩道部分もしくは、路側帯とは、白線で仕切られており、歩道部分もしくは路側帯の幅は一・一メートルである。この一・一メートルのうち〇・六メートルは側溝である。

(二) ところで、亡岩雄、亡明雄の両名は右の一・一メートルの歩道部分もしくは路側帯を通行すべきところ、事故時には飲酒して、右路側帯の白線部分から、〇・五メートルも車道に入つた部分を歩行していた。

(三) 本件事故発生には被害者に右のような過失があるから過失相殺されるべきである。

四  抗弁に対する答弁

1  抗弁1項は認める。

2  抗弁2項は争う。本件事故現場附近の道路には歩道部分は存在しない。また歩行者が必ず路側帯を通行すべき義務はない。

第三  証拠関係は本件記録中の書証目録、証人等目録記載のとおりである。

理由

一  請求の原因1項の事実は当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第四ないし第七号証、同第八号証の一、二、同第九ないし第一二号証によれば、請求の原因2、3項の事実が認められ、同4項の事実は当事者間に争いがない。

二  亡岩雄の損害につき判断する。

1  成立に争いのない甲第三五、第三六号証、同第三八号証、証人高仲洋の証言により成立の認められる甲第一三号証、原告高仲勇本人尋問の結果(第一回)により成立の認められる甲第一六号証、同第一八、第一九号証、原告高仲勇本人尋問の結果(第二回)により成立の認められる甲第三一、第三二号証、同第四〇、第四一号証、証人高仲洋の証言及び原告高仲勇本人尋問の結果(第一、二回)によれば、次の事実が認められる。

(一)  亡岩雄は、死亡当時六〇歳で農業と貸植木業を営んでいた。

(二)  農業について

当時、耕作面積は、畑約一三二アール、田約一二アールであつた。畑の半分である六六アールは、ごぼう畑で、その粗収入は、一〇アール当り一年約五一万円(収穫量約三〇〇〇キログラム、一キログラム当り約一七〇円で売却された)で、それに対する経費は一〇アール当り一年約二〇万円(人件費約二〇人、一人当り七〇〇〇円、肥料、種子、農薬その他約六万円)であり、これにより六六アールの純収益を計算すれば二〇四万六〇〇〇円となる

畑の半分である六六アールは植木畑で、その粗収入は、一〇アール当り一年約五〇万円(貸植木業者に対する販売約二〇万円、一般業者及び小売分約三〇万円)、それに対する経費は一〇アール当り一年二四万円(人件費二〇人、一人当り七〇〇〇円、苗木、肥料、農薬その他一〇万円)であり、これにより六六アールの純収益を計算すれば一七一万六〇〇〇円となる。

水田一二アールの粗収入は一年当り約一八万円で、人件費、肥料、農薬その他の経費は約一〇万円であつたので、この純利益は八万円であつた。

以上の畑及び田の純収益の合計は三八四万二〇〇〇円となる。

右の農業は、亡岩雄が主として行い、長男である原告高仲勇とその妻敬子が手伝つていた。

(三)  貸植木業について

昭和五五年一月一日から同年九月三〇日までの貸植木業の粗利益累計額は、一三一一万四四三三円であり、これに対する経費は五八四万七九六七円で、家族の専従者給与を差引かない前の利益は七二六万六四六六円であつた。これによれば一か月の純収益は八〇万七三八五円であり、一か年の純収益は九六八万八六二〇円となる。

右の貸植木業は、亡岩雄の事業主体とする個人営業として、勇、敬子及び亡岩雄の妻原告高仲秀子を専従者としその給与を控除して、青色申告により納税していたが、実際の稼働は亡岩雄と勇が主体であり、同程度に働き、敬子が手伝う程度であつた。

2  右認定によれば、農業についての亡岩雄の寄与率は六〇パーセントと認めるのが相当であるので、一年の純収益三八四万二〇〇〇円の六〇パーセントは二三〇万五二〇〇円となり、貸植木についての亡岩雄の寄与率は四〇パーセントと認めるのが相当であるので、一年の純収益九六八万八六二〇円の四〇パーセントは三八七万五四四八円となる

以上の合計六一八万〇六四八円につき、生活費を三五パーセント控除し、将来八年間稼働できるものとして、ホフマン方式により逸失利益を計算すれば二六四七万〇七八八円となる。

3  前認定の亡岩雄の稼働状態、家族関係に照らし、同人の死亡による慰藉料は一二〇〇万円と認めるのが相当である。

4  亡岩雄の葬儀費のうち本件事故と相当性が認められる額は七〇万円と認められる。

5  以上の2ないし4の合計は三九一七万〇七八八円となる。

三  亡明雄の損害につき判断する。

1  前掲甲第一三号証、第三五号証、第三八号証、成立に争いのない甲第三七号証、第四四号証、第四六号証、乙第一五、第一六号証、原告神崎むつゑ本人尋問の結果により成立の認められる甲第一七号証、原告神崎輝雄本人尋問の結果(第一回)により成立の認められる甲第二〇ないし第二二号証、原告神崎輝雄本人尋問の結果(第二回)により成立の認められる甲第三九号証、証人高仲洋の証言、原告神崎むつゑ本人尋問、同神崎輝雄本人尋問(第一、二回)の各結果によれば、次の事実が認められる。

(一)  亡明雄は、死亡当時五八歳で農業と太陽オート販売株式会社等に勤務していた。

(二)  農業について、

当時、耕作面積は、畑約一〇六アール、田約一〇アールであつた。畑のうち約八〇アールは、ごぼう畑で、その粗収入は一〇アール当り一年約五一万円で、それに対する経費は一〇アール当り一年約二〇万円であり、これにより八〇アールの純収益を計算すれば二四八万円となる。

畑のうち二六アールは栗畑で、その粗収入は一年約二六万円で、これに対する経費は約一〇万円であつた。従つて、栗畑の純収益は一六万円となる。

水田一〇アールの粗収入は一年約一六万円で、これに対する経費は約九万円であつたので、純収益は約七万円であつた。

以上の農業による純収益は二七一万円となる。

右の農業は亡明雄が主として行つていたが、昭和五五年一月頃から畑のうち約七〇アールを長男原告神崎輝雄の経営する太陽オート販売株式会社の廃車置場に使用することを考え、本件事故当時農地転用申請中であつたが、昭和五五年一〇月二二日転用許可が下りた。

(三)  亡明雄は、かつて農業のかたわら高速道路サービス株式会社にも勤務していたが、昭和五五年八月三〇日付で退職した。さらに亡明雄は、太陽オート販売株式会社及び有限会社太陽オートサービスに勤務し、昭和五五年一月分から同年九月分までの太陽オート販売株式会社より得た収入は一八〇万円、有限会社太陽オートサービスより右期間に得た収入は一二〇万円であつた。

2  右認定によれば、亡明雄は事故当時、耕作地のかなりの部分を太陽オート販売株式会社の廃車置場に転用申請中であつたことに照らし、同人の農業についての逸失利益の基礎となるべき数値は前認定の一年の純収益の四〇パーセントである一〇八万四〇〇〇円とみるのが相当であり、既に、退職した高速道路サービス株式会社よりの収入は、逸失利益の基礎となる数値に加えることは相当ではなく、太陽オート販売株式会社、有限会社太陽オートサービスよりの九か月の収入三〇〇万円により計算される一か年の収入四〇〇万円を右の基礎にするのが相当である

右五〇八万四〇〇〇円につき、生活費を三五パーセント控除し、将来九年間稼働できるものとして、ホフマン方式により逸失利益を計算すれば二四〇五万〇八七八円となる。

3  前認定の亡明雄の稼働状態、家族関係に照らし、同人の死亡による慰藉料は一二〇〇万円と認めるのが相当である。

4  亡明雄の葬儀費のうち本件事故と相当性の認められる額は七〇万円と認められる。

5  以上2ないし4の合計は三六七五万〇八七八円となる。

四  過失相殺について

当事者間に争いのない請求の原因1項の事実に成立に争いのない甲第二六号証の二ないし三七によれば、次の事実が認められる。

1  被告は、昭和五五年一〇月八日午後六時三〇分頃から勤務先である株式会社ドラツグストアオオモリ成田空港店の寮において日本酒を飲み、午後八時ころまでの間に四~五合を飲んだが、午後八時一五分ごろドライブしたい気持になり加害車を運転し始め、午後八時二二分ごろ千葉県成田市大清水一六五番地先の歩車道の区別のない幅員六・八メートルの道路(後記のとおり路側帯がある)を成田市三里塚方面から同市寺台方面に向かい時速約八〇キロメートルで進行中、先行車の前照燈で進路前方約一〇七・七メートル左側に対面歩行中の亡岩雄及び亡明雄の両名を認めたが、先行する普通乗用自動車を追い越すことのみに気を奪われ、かつアルコールの影響により正常な運転ができない状態であるに拘らず、右両名に対する注意を全く欠いたまゝ進行し、本件事故を惹起した。

2  亡岩雄と亡明雄は、同日親戚である高仲誠宅の建前で飲酒のうえ、前記道路は両側路肩よりそれぞれ〇・六メートルのところに外側線が引かれ、路肩の外側にそれぞれ幅〇・五メートルの側溝(有蓋)がある状態であつたが、外側線より約〇・五メートル車道に入つたところを歩行中に本件事故にあつた。

右事実によれば、被告には、アルコールにより正常な運転ができないのであるから運転をやめるべき義務、歩行者に対する注視義務等に違反した過失が認められ、一方亡岩雄及び亡明雄には路側帯を通行すべき義務があるのにこれに違反した過失が認められ、その過失割合は被告九に対し、亡岩雄、亡明雄一と認めるのが相当である

二、三において認定した損害に対し右のとおりの過失相殺をすれば、亡岩雄の損害額は三五二五万三七〇九円となり、亡明雄の損害額は三三〇七万五七九〇円となる。

五  損害の填補について、

被告は、原告高仲秀子、同高仲勇、同高仲常次、同高仲光雄、同小磯初子に対し自賠責保険金二〇〇〇万一三〇〇円及び被告本人の弁済金一〇〇万円の合計二一〇〇万一三〇〇円の支払いをなしたことは当事者間に争いがないので、これを右の亡岩雄の損害額から控除すれば一四二五万二四〇九円となる。

被告は、原告神崎むつゑ、同神崎輝雄、同坂巻節子に対し、自賠責保険金二〇〇〇万一三〇〇円及び被告本人の弁済金一〇〇万円の合計二一〇〇万一三〇〇円の支払いをなしたことは当事者間に争いがないので、これを右の亡明雄の損害額から控除すれば一二〇七万四四九〇円となる。

六  弁護士費用について、

本件にあらわれた事情を考慮し、原告高仲秀子、同高仲勇、同高仲常次、同高仲光雄、同小磯初子に関する弁護士費用として一〇〇万円、原告神崎むつゑ、同神崎輝雄、同坂巻節子に関する弁護士費用として一〇〇万円が相当と認められる。

七  相続分による分割

以上の損害額及び弁護士費用を原告らの法定相続分により分割すれば、原告高仲秀子について四七五万〇八〇三円と弁護士費用三三万三三三三円、合計五〇八万四一三六円、原告高仲勇、同高仲常次、同高仲光男、同小磯初子についてそれぞれ二三七万五四〇一円と弁護士費用一六万六六六六円、合計二五四万二〇六七円、原告神崎むつゑ、同神崎輝雄、同坂巻節子について、それぞれ四〇二万四八三〇円と弁護士費用三三万三三三三円、合計四三五万八一六三円となる。

八  結論

原告らの本訴請求は、前項に認めた各合計金額の範囲の金額及び弁護士費用を除く損害額についてはそれぞれ本件事故の日である昭和五五年一〇月八日から、弁護士費用については本判決確定の日の翌日からそれぞれ支払済みに至るまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める部分を正当として認容し、原告らのその余の請求を失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条九二条九三条を、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用し、仮執行の免脱申立は相当でないので却下し、主文のとおり判決する。

(裁判官 荒井眞治)

別紙(1) 高仲岩雄の年収

1 農業収入 2,610,000円

(内訳) 畑(140アール)の実収入 4,270,000円

田(12アール)の実収入 80,000円

合計 4,350,000円

亡岩雄の寄与率60% 435万×60%=261万円

2 貸植木による収入 5,248,621円

(内訳) 昭和55年1月1日~昭和55年9月30日までの諸経費(家族専従者給与を含む)を控除後の収入(金3,936,466円)を基準にした推定年収

3,936,466円÷9ケ月×12ケ月=5,248,621円

3 上記1.2.の合計 金7,858,621円

別紙(2) 神崎明雄の年収

1 農業収入 2,121,000円

(内訳) 畑(106アール)の実収入 2,960,000円

田(10アール)の実収入 70,000円

合計 3,030,000円

亡明雄の寄与率70% 303万円×70%=2,121,000円

2 給計収入 6,350,154円

(内訳)(イ) 高速道路サービス(株)(昭55.1~8) 1,762,616円

(ロ) 太陽オート販売(株) (昭55.1~9) 1,800,000円

(ハ) (有)太陽オ一トサービス(昭55.1~9) 1,200,000円

(ニ) (イ)(ロ)(ハ)の合計 4,762,616円

上記(ニ)4,762,616円を基準にした推定年収

4,762,616円÷9ケ月×12ケ月=6,350,154円

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